2611.00010 · 公開 2026-11-07 · 更新 2026-11-07
SaaSを利用する部門と統制担当者に向けて、データ・権限・構成の把握から、共通対策、残余リスク、追加対策の判断までを説明します。管理基準と実際の状態を照合し、残る経路と必要な対応速度に応じて対策を選ぶ方法を提案します。
1 SaaSの仕組みと利用者の管理範囲
1.1 SaaSとは何か
SaaS(Software as a Service)は、事業者のクラウド上で動くアプリケーションを、ネットワーク経由で利用するサービス形態です。利用者はブラウザー、専用アプリ、プログラムから機能を使います。メール、ファイル共有、顧客管理、人事管理などが該当します。[1]
アプリケーションや基盤の運用は、主にSaaS提供者が担います。利用組織は、業務に使うデータと、そのデータを扱う利用者・権限・設定を管理します。具体的な分担は、サービスの仕様と契約で確かめます。[2]
1.2 利用組織に残る管理責任
| 管理する側 | 主な管理内容 | 利用組織が確認すること |
|---|---|---|
| SaaS提供者 | サービス基盤、アプリケーションの保守、提供機能の運用。 | 提供される保護機能、障害時の対応、復旧・データ回収の条件。 |
| 利用組織 | 入力するデータ、利用者、権限、共有範囲、外部連携、保存条件。 | 業務上必要な利用範囲と、実際の設定・運用の一致。 |
例えば、顧客の契約書をファイル共有SaaSへ保存する場合、契約書を置く場所、閲覧できる人、社外への共有方法は利用組織が決めます。これらの判断を設定に反映することが、SaaSのセキュリティ管理の出発点となります。
本書は組織向けの管理標準案です。公開フレームワーク・指針の参照箇所は本文に示します。点検周期、判定規則、役割分担は、本書の提案として扱います。