NETWORK SPECIALIST / THEME-BASED STUDY
03
ルーティング・経路冗長化
ネットワークスペシャリスト 午後対策
2021–2025年度の過去問を、設問・小問単位で再構成
50収録小問・空欄群
24原問の設問を収録
14参照する大問
この冊子の学習順序

OSPFの基本と経路設計 → BGPの経路選択 → 冗長化と切替 → マルチキャスト → IPv6経路

各小問は、必要な条件、問題、解答表、解説の順に読む。選択記号は内容を表す語句・文章へ置き換えた。

8冊の構成
冊学習領域収録小問
01L2・LAN・無線ネットワーク19
02IP通信・アドレス制御28
03ルーティング・経路冗長化50
04DNS・Web・アプリケーション通信41
05ネットワークセキュリティ・認証65
06仮想ネットワーク・クラウド・WAN26
07性能・通信品質・可用性設計31
08監視・障害解析・移行運用44

全体は25題・96設問が対象。成立する304小問・空欄群を収録した。小問番号のない設問は1単位、同じ小問内の複数空欄はまとめて1単位と数える。各冊の設問数は分割収録を含むため、合計は全体の設問数と一致しない。

2024年度 午後Ⅱ 問2 設問5(1)〜(3)は、IPAが不成立としたため除外した。

出典と編集範囲

原典:IPA「ネットワークスペシャリスト試験」問題冊子・解答例。
2021年度 / 2022年度 / 2023年度 / 2024年度 / 2025年度
© IPA 2021–2025。問題の条件と解答は原典に基づく再構成であり、逐語転載ではない。解説・図は学習用の編集を含む。技術判断は各過去問の前提に従う。本資料はIPAの公式教材ではない。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

OSPFの基本と経路設計

設問1 IPsecとOSPFの基礎

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問1 / 原題:企業ネットワークの統合
この冊子の収録小問:枝番なし

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問1

OSPFの計算要素とアドレス集約

D社は支社と本社をOSPFで接続する。支社側のアドレス群は172.16.0.0/16に含まれる。本社からクラウドへはIPsec VPNを使う。

問題

a:VPNの両端にあらかじめ設定する認証用の鍵を答えよ。

b:OSPF Type1 LSAの名称を答えよ。

c:OSPFのメトリックの名称を答えよ。

d:最短経路計算に使うアルゴリズムを答えよ。

e:支社経路を/16で集約したネットワークアドレスを答えよ。

解答と解説

a事前共有鍵
bルータLSA
cコスト
dダイクストラ法
e172.16.0.0/16

解説:OSPFはLSAからトポロジー情報を集め、コストに基づいて経路を計算する。IPsecの共有鍵はその経路計算とは別の、接続相手認証の要素である。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

OSPFの基本と経路設計

設問1 VRFで分離した拠点VPNの経路

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1 / 原題:セキュアゲートウェイサービスの導入
この冊子の収録小問:3・5・6

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1(3)

(3) OSPFで得る経路とトンネルへ設定する経路

本社のFW、L3SW、IPsecルータはOSPFを使用し、FWがデフォルト経路を配布する。本社IPsecルータはL3SW経由でFWへ到達する。営業所とのトンネルに向く経路は、両拠点で明示的に設定する。

問題

b:本社IPsecルータがOSPFで得るLAN側デフォルト経路のネクストホップ機器を答えよ。

c:本社IPsecルータの営業所LAN宛てトンネル経路の設定方式を答えよ。

d:営業所IPsecルータのトンネル向きデフォルト経路の設定方式を答えよ。

解答と解説

b本社のL3SW
c静的経路制御
d静的経路制御

解説:OSPFは本社内でFWへ向かう経路を伝える。トンネルを使う拠点間の転送先は、原問の設計に従って静的に設定する。

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1(5)

(5) 動的IPのVPN相手へ到達するデフォルト経路

本社IPsecルータの外部IPは固定である。営業所IPsecルータの外部IPは、ISPから動的に割り当てられる。本社側ではVPN確立用のインターネット向けデフォルト経路を静的に設定する。

問題

VPN相手へ到達するために、特定宛先の経路ではなくデフォルト経路が必要となる理由を答えよ。

解答と解説

ISPが営業所のIPsecルータへ割り当てるIPアドレスが動的だから。

解説:相手の外部アドレスを固定した個別経路で扱えない。現在割り当てられたアドレスへ、ISP方向のデフォルト経路で到達する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1|VRFで分離した拠点VPNの経路(続き)

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1(6)

(6) 本社内へ再配布する営業所LANの経路

営業所LANは172.17.1.0/24である。本社IPsecルータには、このネットワークをトンネルIFへ送る静的経路を設定している。本社のほかの装置はOSPFで経路を学習する。

問題

本社IPsecルータがOSPFへ再配布する静的経路の宛先を答えよ。

解答と解説

172.17.1.0/24(営業所LAN)。

解説:本社側の各装置が、営業所へ戻るパケットをIPsecルータへ送れるようにする。VPN相手の外部IPへの到達用経路ではなく、内部の営業所LANへの経路を配布する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

OSPFの基本と経路設計

設問4 クラウド移行時の経路と負荷分散

2023年度 午後Ⅰ 問1 設問4 / 原題:Webシステムの更改
この冊子の収録小問:1

2023年度 午後Ⅰ 問1 設問4(1)

(1) クラウドとデータセンター間の静的経路

クラウドのVPCは172.21.10.0/24である。専用線の接続セグメントは172.21.11.0/24であり、データセンター側L3SWは172.21.11.1、クラウド側仮想ルータは172.21.11.2を使用する。

VPC内のサーバは、データセンターに残すAPサーバやDNSサーバと通信する。データセンター側にはVPC宛ての経路を設定し、仮想ルータにはデータセンター側へ向くデフォルト経路を設定する。

問題

a:L3SWに追加する経路の宛先ネットワークを答えよ。

b:その経路のネクストホップを答えよ。

c:仮想ルータのデフォルト経路のネクストホップを答えよ。

解答と解説

a172.21.10.0/24
b172.21.11.2
c172.21.11.1

解説:ネクストホップには、宛先方向にある隣接ルータの接続インタフェースを指定する。往路だけでなく、VPCからデータセンターへ戻る経路も必要である。

VPC
172.21.10.0/24
→
仮想ルータ
172.21.11.2
→
DC側L3SW
172.21.11.1
→
AP・DNSサーバ
専用線接続と経路の向き。アドレスは原問に基づく。
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

OSPFの基本と経路設計

設問2 デフォルト経路の導入

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問2 / 原題:企業ネットワークの統合
この冊子の収録小問:枝番なし

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問2

FWの静的デフォルト経路をOSPFへ伝える

FWだけにインターネット向けの静的デフォルト経路が設定されている。社内の他のルータはOSPFを利用する。

問題

全OSPFエリアからインターネットへ到達するため、FWで行う設定を25字以内で答えよ。

解答と解説

OSPFへデフォルトルートを導入する。

解説:FW自身が外部への経路を持つことと、社内機器へその出口を知らせることは別である。OSPFへデフォルト経路を広告させる。

OSPFの基本と経路設計

設問4 分断されたバックボーンの接続

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問4 / 原題:企業ネットワークの統合
この冊子の収録小問:1・2・3

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問4(1)

(1) エリア0が分断された場合の到達範囲

D社本社のエリア0とE社のエリア0の間に、D社支社のエリア1がある。支社1のL3SW1とE社L3SW6をエリア0の新規回線で接続したが、仮想リンクはまだ設定していない。

D社本社のエリア0には、共通LAN172.17.0.0/25と、端末LAN172.17.2.0/23、172.17.4.0/23、172.17.6.0/23、172.17.8.0/23がある。

問題

E社から到達できないD社内のサブネットを全て答えよ。

解答と解説

共通LAN172.17.0.0/25
端末LAN1172.17.2.0/23
端末LAN2172.17.4.0/23
端末LAN3172.17.6.0/23
端末LAN4172.17.8.0/23

解説:物理的につながっても、バックボーンがエリア1によって分断されたままである。原問ではD社本社側の5セグメントへ到達できない。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問4|分断されたバックボーンの接続(続き)

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問4(2)

(2) OSPF仮想リンクでエリア0を論理的に接続する

本社側の「ルータ」はエリア0とエリア1の境界にある。支社1のL3SW1も、E社側のエリア0へ接続したことで境界ルータになる。両者はエリア1を介して到達できる。

問題

a:追加設定する二つの機器を答えよ。

b:必要な設定を答えよ。

解答と解説

aルータとL3SW1
b両機器間にOSPF仮想リンクを設定する。

解説:通過エリア1を介した仮想リンクにより、分断されたエリア0を論理的に連続させる。

本社エリア0
→
ルータ
→
エリア1を通過する仮想リンク
→
L3SW1
→
E社エリア0
二つの境界ルータ間でバックボーンを論理接続する。

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問4(3)

(3) 二つ目の境界ルータにも経路集約を設定する

従来は本社のルータだけがエリア1からエリア0へ経路を通知していた。統合後はL3SW1も境界となり、仮想リンクでエリア0が接続される。従来の集約設定は本社ルータだけにある。

問題

a:追加設定が必要な機器を答えよ。

b:設定内容を答えよ。

解答と解説

aL3SW1
bエリア1の支社個別経路を172.16.0.0/16へ集約する。

解説:新しい境界から個別経路が流入すると、一方だけの集約ではエリア0全体の経路数を抑えられない。新たな広告元にも同じ集約を設定する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

OSPFの基本と経路設計

設問3 経路集約とループ防止

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問3 / 原題:企業ネットワークの統合
この冊子の収録小問:1・2・3・4

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問3(1)

(1) 複数の支社経路を集約する目的

支社の各LANは個別のサブネットを持つ。エリア境界で、それらを172.16.0.0/16へ集約する。

問題

経路集約の目的を25字以内で答えよ。

解答と解説

ルーティングテーブルのサイズを小さくする。

解説:支社ごとの個別経路を一つのプレフィックスにまとめ、受信側が保持する経路エントリを減らす。

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問3(2)

(2) エリア境界で経路集約を設定する機器

支社LANと広域イーサネットはOSPFエリア1である。本社LANはエリア0である。「ルータ」が両エリアを接続し、その先に本社L3SWとFWがある。

問題

支社経路の集約を設定する機器を答えよ。

解答と解説

ルータ

解説:エリア1の個別経路をエリア0へ通知する境界で集約する。原問の構成では、そのエリア境界ルータの機器名が「ルータ」である。

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問3(3)

(3) 集約範囲内の未使用宛先で起こるループ

FWは172.16.0.0/16をルータ方向へ転送する。ルータは存在する支社サブネットの個別経路と、FW向けのデフォルト経路を持つ。集約範囲内に未使用の宛先がある。

問題

廃棄経路を用意しない場合、どの機器間でループするか答えよ。

解答と解説

ルータとFWの間

解説:FWは集約経路に従ってルータへ送る。ルータは該当する個別経路がないとデフォルトでFWへ戻すため、同じパケットが往復する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問3|経路集約とループ防止(続き)

2021年度 午後Ⅰ 問2 設問3(4)

(4) Null0経路で集約に伴うループを止める

ルータは支社経路を172.16.0.0/16に集約してFWへ通知する。実在する支社へのより長いプレフィックスの経路も保持する。集約範囲内の未使用宛先をFWへ戻したくない。

問題

a:廃棄経路を設定する機器を答えよ。

b:ネクストホップをNull0とする宛先ネットワークを答えよ。

解答と解説

aルータ
b172.16.0.0/16

解説:実在する宛先には最長一致で個別経路が選ばれる。個別経路がない宛先だけが/16の廃棄経路に一致し、デフォルト経路で戻ることを防ぐ。

OSPFの基本と経路設計

設問2 通信を継続したまま実施するルータ更改

2025年度 午後Ⅰ 問1 設問2 / 原題:ルータの更改
この冊子の収録小問:2

2025年度 午後Ⅰ 問1 設問2(2)

(2) OSPFコストを上げて更改対象を迂回させる

通常は広域イーサ網側のOSPFコスト100が優先され、障害時にはIPsec VPN側のコスト1000の経路へ迂回する。R10を停止する前に、R10を通らない経路へ通信を移す。

問題

R10のインタフェースのOSPFコストをどのような値へ変更すべきか。30字以内で答えよ。

解答と解説

65535といった十分大きな値に変更する。

解説:通常の優先経路を、代替経路より不利にする操作である。コストを小さくすると、逆にR10が選ばれやすくなる。装置を突然停止する前に経路を切り替え、その状態で正常通信を確認する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

BGPの経路選択

設問2 BGPとOSPFによる接続冗長化

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2 / 原題:インターネット接続環境の更改
この冊子の収録小問:1・2・3・4・5

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2(1)

(1) iBGPピアを物理ポートではなくループバックで張る

ルータ10とルータ11には、OSPFで経路交換するインタフェースがそれぞれ二つある。両ルータ間の直接接続と、L2SW10を介する接続によって迂回経路を構成できる。FW10のOSPF用インタフェースは一つである。

ルータ10・11とFW10はiBGPピアを構成する。ルータ10・11側のピアアドレスには、物理ポートではなくループバックのIPアドレスを使用する。

問題

ルータ10・11にループバックアドレスを用いる理由を、インタフェース数の違いに着目して述べよ。

解答と解説

両ルータはOSPF用インタフェースを二つもち、片側の障害時にも迂回路を構成できるから。

解説:物理ポート固有のアドレスに依存させず、OSPFで到達できるループバックをピアの終点にする。これにより、一方の接続が使えなくても別の経路を通して同じピアアドレスへ到達できる。

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2(2)

(2) NEXT_HOPを書き換えない場合の到達経路

ルータ10はISPのルータ10Zとα.β.γ.0/30で接続する。ルータ11はISPのルータ11Zとα.β.γ.4/30で接続する。両接続はOSPFの対象外である。

ISPから受信したデフォルト経路を、ルータ10・11からFW10へiBGPで広告する。FW10は両ルータのループバックへ到達できる。ここで、広告時にNEXT_HOPを自分のアドレスへ書き換えない場合を考える。

問題

FW10が外部側NEXT_HOPへ到達するため、追加で必要となる宛先ネットワークを二つ答えよ。

解答と解説

ルータ10Z側α.β.γ.0/30
ルータ11Z側α.β.γ.4/30

解説:NEXT_HOPを変更しなければ、FW10はISP側のアドレスまでの経路を必要とする。内部ルータのループバックへの経路だけでは足りない。原問のnext-hop-self設定は、この外部NEXT_HOPへの到達経路を内部へ持ち込まずに済ませるためのものである。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2|BGPとOSPFによる接続冗長化(続き)

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2(3)

(3) AS_PATHに自ASを含む経路を破棄する理由

BGPで経路をAS外へ広告する際、自AS番号をAS_PATHへ追加する。受信した経路のAS_PATHに自AS番号が含まれていた場合は、その経路情報を破棄する。

問題

この破棄処理の目的を答えよ。

解答と解説

経路のループを回避するため。

解説:自AS番号を含む経路は、自ASを通過した後で戻ってきた経路である。再び採用しないことで、AS間の経路循環を防ぐ。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2|BGPとOSPFによる接続冗長化(続き)

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2(4)

(4) BGP属性・再帰的な次ホップ・キープアライブ

BGPは優先順位に従って属性を比較する。この構成では、LOCAL_PREFが同じ場合にAS_PATH長を比較し、その後の条件が同じ場合にMEDを比較する。

ルータ10のループバックはα.β.γ.8、FW側物理ポートはα.β.γ.17である。ルータ11のループバックはα.β.γ.9、FW側物理ポートはα.β.γ.18である。両ルータはnext-hop-selfを使用する。

FW10が受信するデフォルト経路のLOCAL_PREFは、ルータ10経由が200、ルータ11経由が100である。FW10はそれぞれのループバックへの経路をOSPFで学習する。

問題

a:AS_PATHは長い方と短い方のどちらを優先するか。

b:MEDは大きい方と小さい方のどちらを優先するか。

c:LOCAL_PREF 200の経路のBGP NEXT_HOPは何か。

d:LOCAL_PREF 100の経路のBGP NEXT_HOPは何か。

e:FW10からα.β.γ.8への転送に用いる直近の次ホップは何か。

f:FW10からα.β.γ.9への転送に用いる直近の次ホップは何か。

g:BGPピア間で定期的に送る生存確認メッセージの名称は何か。

解答と解説

a短い方
b小さい方
cα.β.γ.8
dα.β.γ.9
eα.β.γ.17
fα.β.γ.18
gキープアライブ(KEEPALIVE)

解説:BGPで広告されたNEXT_HOPと、実際に同一リンク上で転送する次ホップを区別する。ループバック宛ての経路を再帰的に参照すると、直近の物理ポートアドレスが得られる。属性比較は、先に比較する条件が同等の場合にだけ次の条件へ進む。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2|BGPとOSPFによる接続冗長化(続き)

2021年度 午後Ⅱ 問2 設問2(5)

(5) 通常のBGPとマルチパスの違い

本問では、通常のBGPは一つの宛先に対して最適経路を一つ選ぶ動作を前提とする。導入候補機器には、主要属性が同じでNEXT_HOPだけが異なる複数経路をルーティングテーブルへ反映するBGPマルチパス機能がある。

問題

通常のBGPではトラフィック分散ができない理由を、BGPテーブルとルーティングテーブルの関係から説明せよ。

解答と解説

BGPテーブルから最適経路を一つだけ選び、ルーティングテーブルに反映するため。

解説:候補経路を複数受信することと、複数の転送経路を同時に使うことは異なる。原問では、複数経路を転送に使う追加機能としてBGPマルチパスを扱っている。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

BGPの経路選択

設問2 BGPとVRRPによるマルチホーム接続

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問2 / 原題:マルチクラウド利用による可用性向上
この冊子の収録小問:1・2・3・6

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問2(1)

(1) BGPのメッセージとLOCAL_PREF

本社の二つの出口をBGPで接続する。BGPはTCPポート179を利用し、隣接ルータと経路を交換する。受信した複数の経路から、LOCAL_PREFなどの属性を比較して最適な経路を選ぶ。

問題

a:BGPが経路交換の対象とする自律システムの略称を答えよ。

b:経路交換を行う隣接ルータを何と呼ぶか。

c:経路の追加・削除を通知するメッセージ名を答えよ。

d:接続の確立確認や維持に用いるメッセージ名を答えよ。

e:選択した最適経路を反映する、ルータの表を答えよ。

f:LOCAL_PREFは値が大きい方と小さい方のどちらを優先するか。

解答と解説

aAS
bピア
cUPDATE
dKEEPALIVE
eルーティングテーブル
f大きい方

解説:UPDATEは経路情報を伝え、KEEPALIVEはBGP接続の維持に使う。LOCAL_PREFはAS内で経路の優先度を伝える属性であり、比較では大きい値を優先する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問2|BGPとVRRPによるマルチホーム接続(続き)

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問2(2)

(2) iBGP広告時のnext-hop-self

本社ルータR11とR13はiBGPで接続する。R11はR12、R13はR14とそれぞれeBGPで接続する。R11とR13のiBGP広告にはnext-hop-selfを設定する。

問題

next-hop-selfによって、広告する経路のネクストホップにはどのIPアドレスが設定されるか。

解答と解説

広告するルータ自身のIPアドレス。

解説:相手ルータが到達すべきネクストホップを、広告元の自ルータへ置き換える。外部で得た経路の元のネクストホップを、内部の相手が直接解決する必要をなくす。

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問2(3)

(3) KEEPALIVEの途絶と経路削除

BGPピアは接続を維持するために定期的なメッセージを交換する。相手からの受信が一定時間なくなると、その接続を維持できないと判断する。

問題

定期的に交換するメッセージ名と、一定時間受信できない場合の動作を答えよ。

解答と解説

メッセージKEEPALIVE
動作BGP接続を切断し、その接続で得た経路情報をクリアする。

解説:利用できなくなった相手の経路を残すと、障害先へ転送し続けるおそれがある。BGP接続の終了と、そこから学習した経路の撤回を対応付けて理解する。

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問2(6)

(6) 静的経路を削除してBGP経路を有効にする

既存のR11とR12には静的経路が設定されている。BGP接続を確立して同じ宛先の経路を受信した後、不要になった静的経路を削除する。

問題

静的経路の削除によってBGP経路が有効になる理由を答えよ。

解答と解説

この構成では、同じ宛先の経路情報はBGPより静的経路の方が優先されるから。

解説:BGPが経路を受信していることと、転送にその経路が採用されることは同じではない。原問の優先関係では、静的経路を削除してからBGPの選択経路が利用される。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

BGPの経路選択

設問2 CDNのBGP経路選択と保護

2024年度 午後Ⅰ 問1 設問2 / 原題:コンテンツ配信ネットワーク
この冊子の収録小問:1・2

2024年度 午後Ⅰ 問1 設問2(1)

(1) BGPのLOCAL_PREFとMEDの優先方向

CDNのPOPがBGPで経路を広告する。経路選択ではLOCAL_PREFとMEDの値を比較する。

問題

LOCAL_PREFは値が大きい経路と小さい経路のどちらを優先するか。

MEDは値が大きい経路と小さい経路のどちらを優先するか。

解答と解説

LOCAL_PREF大きい値を優先する。
MED小さい値を優先する。

解説:二つの属性は優先する値の方向が逆である。原問では両属性が選択を左右しない設定にした後、AS_PATH長で経路を選ぶ。

2024年度 午後Ⅰ 問1 設問2(2)

(2) AS_PATHが短い配信経路を選ぶ

東京POPのAS-Eと端末側AS-GはIXを介して直接BGP接続できる。別経路ではAS-EからトランジットISPのAS-Fを経由してAS-Gへ到達する。AS_PATH長以外は経路選択に影響しない。

問題

東京POPから端末へのコンテンツ配信は、IX経由とAS-F経由のどちらになるか。

解答と解説

IX経由。

解説:IXではAS-EとAS-Gが直接接続するため、AS-Fを経由する経路よりAS_PATHが短い。地理的距離ではなく、与えられたBGPの選択条件で判断する。

経路1
→
AS-E(東京POP)
→
IX
→
AS-G
経路2
→
AS-E(東京POP)
→
AS-F
→
AS-G
IXはL2の相互接続点であり、AS_PATHに追加のASとして入らない。
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

BGPの経路選択

設問4 EVPNによる制御とマルチホーム

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問4 / 原題:VXLANとEVPNを用いるデータセンターネットワーク
この冊子の収録小問:1

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問4(1)

(1) ルートリフレクタによるiBGPの集約

八台のL3SWにMP-BGPを設定する。上位二台をルートリフレクタとし、下位六台は両方のクライアントになる。ルートリフレクタ二台の冗長化では経路のループを防ぐ識別子を設定する。

問題

ルートリフレクタを用いる利点を答えよ。

ループ防止のためのIDの名称を答えよ。

解答と解説

利点iBGPピアの数を減らせる。
IDクラスターID

解説:全装置同士をフルメッシュで接続する代わりに、リフレクタを介して情報を配布する。冗長化時には同じ経路が繰り返し反射されないように識別する。

BGPの経路選択

設問2 同一AS番号を使う拠点間のBGP

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問2 / 原題:SD-WANによる拠点接続
この冊子の収録小問:1・2

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問2(1)

(1) as-overrideによるAS_PATHの置換

通信事業者のAS番号は64500である。G社は全拠点に65500を使う。支店Vのプレフィックスは10.3.0.0/16である。本社へ届く経路のAS_PATHは、as-overrideなしでは「64500 65500」となる。as-overrideは顧客のAS番号を事業者のAS番号に置き換える。

問題

本社へ広告される支店Vのプレフィックスを答えよ。

as-overrideありのAS_PATHを答えよ。

解答と解説

プレフィックス10.3.0.0/16
AS_PATH64500 64500

解説:変更するのは宛先プレフィックスではなくAS_PATHである。受信側自身のAS番号65500が残らないように置き換えることで、同じAS番号を使う別拠点の経路を受け取れる。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問2|同一AS番号を使う拠点間のBGP(続き)

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問2(2)

(2) 複数拠点で共通のプライベートASを使う

G社にはデータセンター、本社、支店V、支店Wがある。MPLS VPN事業者は64500を利用する。G社に割り当てられたAS番号は65500であり、PEのas-override設定によって全拠点で同じ番号を使う。

問題

四つの拠点に設定するAS番号をそれぞれ答えよ。

解答と解説

データセンター65500
本社65500
支店V65500
支店W65500

解説:PEの64500は通信事業者側の番号である。拠点ごとに異なる番号を推測して割り当てるのではなく、全拠点共通という本文条件に従う。

BGPの経路選択

設問3 経路再配布とOSPFの外部経路

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問3 / 原題:SD-WANによる拠点接続
この冊子の収録小問:1・2

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問3(1)

(1) 相互再配布による経路の回り込みを防ぐ

OSPFで学習した経路をBGPへ再配布し、別の場所でBGPからOSPFへ渡す構成である。一度渡した経路が元のルーティングプロトコルへ戻らないようにフィルターを設定する。

問題

このフィルターによって防げる障害を答えよ。

解答と解説

ルーティングループによる障害。

解説:再配布された経路が元の領域へ戻ると、その経路が別経路として採用される可能性がある。経路情報が回り込む流れを遮断して、転送ループの発生を防ぐ。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問3|経路再配布とOSPFの外部経路(続き)

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問3(2)

(2) BGPから再配布されたOSPF外部LSA

DMZへの経路はデータセンターのOSPFからBGPへ再配布される。支店Vではルータ3がBGPで受信し、支店内のOSPFへ再配布する。支店VのL3SW3は、そのLSAを受信する。全OSPFエリアはエリア0である。

問題

L3SW3が受け取るLSAのタイプを答えよ。

そのLSAを生成する機器を答えよ。

解答と解説

LSAType 5(外部LSA)
生成元支店Vのルータ3

解説:支店側のOSPFから見るとBGPから渡された経路は外部経路である。LSAの生成元は最初のデータセンター機器ではなく、支店側でOSPFへ再配布するルータ3となる。

データセンター:OSPF経路
→
MPLS VPN:BGP経路
→
支店Vルータ3:OSPFへ再配布
→
L3SW3:外部LSAを受信
LSAを生成する位置と、経路の元の宛先を区別する。

冗長化と切替

設問1 DNSとゲートウェイの役割

2021年度 午後Ⅱ 問1 設問1 / 原題:社内システムの更改と移行
この冊子の収録小問:1

2021年度 午後Ⅱ 問1 設問1(1)

(1) DNS転送とVRRP優先度

内部DNSは社外ドメインの問い合わせをISPのフルサービスリゾルバへ転送する。L3SW1・L3SW2はVRRPを構成し、通常はL3SW1をマスターにする。

問題

a:DNSの問い合わせを別のリゾルバへ転送する機能の名称を答えよ。

b:L3SW1で大きく設定するVRRPの値を答えよ。

解答と解説

aフォワーダ
bプライオリティ値

解説:名前解決の転送先指定と、ゲートウェイのマスター選択は別の制御である。VRRPは優先度の高い装置をマスターとする設定になっている。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

冗長化と切替

設問5 ECMPとVRRPによる冗長化

2022年度 午後Ⅱ 問1 設問5 / 原題:テレワーク環境とネットワーク冗長化
この冊子の収録小問:1・2・5

2022年度 午後Ⅱ 問1 設問5(1)

(1) ECMPで二つの広域回線を常用する

K社はM社に加えてN社の広域イーサネットを契約する。通常時から両方を利用したい。OSPFの経路コストを揃え、ECMPを利用する。

問題

等コストに設定する目的を30字以内で答えよ。

解答と解説

M社とN社の広域イーサネットの両方を利用するため。

解説:片方を待機系にするのではなく、両回線へ通信を分散するために複数の経路を同時に選択可能にする。

2022年度 午後Ⅱ 問1 設問5(2)

(2) 等コスト経路の本数とコストを数える

本社のL3SW11から、M社・N社それぞれの広域網を介して、データセンタのL3SW31・L3SW32へ到達できる。

L3SW11の各広域網向けOSPFコストは50である。データセンタ側L3SWのサーバセグメント向けコストは20である。広域網内は同一セグメントであり、途中のL2SWにOSPFコストは加算しない。

問題

a:サーバセグメントへの等コスト経路は何本か。

b:各経路のコストはいくらか。

解答と解説

a4本
b70

解説:広域網2通りと出口L3SW2台の組合せで2×2=4本になる。各経路は50+20=70である。

広域網出口総コスト
M社L3SW3170
M社L3SW3270
N社L3SW3170
N社L3SW3270
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2022年度 午後Ⅱ 問1 設問5|ECMPとVRRPによる冗長化(続き)

2022年度 午後Ⅱ 問1 設問5(5)

(5) 上流障害をVRRPの優先度に反映する

L3SW31がVRRPマスターである。L3SW31のM社・N社向けインタフェースを追跡する。片方が故障した場合は、両方の回線を使えるL3SW32へゲートウェイを切り替えたい。

問題

追跡機能が行う動作を「優先度」を用いて40字以内で答えよ。

解答と解説

インタフェース障害の検知時にL3SW31のVRRP優先度を下げる。

解説:サーバ側インタフェースが生きていても、上流の片系故障を優先度へ反映できる。これにより両回線へ転送できる装置をマスターにする。

冗長化と切替

設問2 アンダーレイと仮想L2ネットワーク

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2 / 原題:VXLANとEVPNを用いるデータセンターネットワーク
この冊子の収録小問:1・2・3

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2(1)

(1) LSAからLSDBと最短経路木を作る

L3SWはOSPFで交換したLSAを基にデータベースを作る。そのデータベースを使い、自装置を根とする木を計算し、経路表へ登録する。

問題

LSAから作るデータベースの名称を答えよ。

計算する木の名称を答えよ。

解答と解説

データベースLSDB
木最短経路木(最短経路ツリー)

解説:LSAはリンク状態を伝える情報であり、LSDBはそれを集めたネットワークの状態である。各装置は自分を出発点に計算するため、同じ状態情報からそれぞれの転送経路を求める。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2|アンダーレイと仮想L2ネットワーク(続き)

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2(2)

(2) OSPFのルータIDが識別する対象

検証ネットワークの各L3SWはOSPFを動作させる。LSAのルータIDには、そのL3SWのループバックインタフェースに割り当てたIPアドレスを用いる。

問題

ルータIDがOSPFネットワーク内で識別する対象を答えよ。

解答と解説

OSPFが動作する各L3SW。

解説:ループバックのIPアドレスを値として使うが、識別の対象はインタフェースではなくOSPFのルータである。

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2(3)

(3) OSPFでECMPを成立させるコスト設定

各下位L3SWは二台の上位L3SWへ接続する。OSPFのECMPを使って、同じ宛先への複数経路に通信を分散したい。

問題

複数経路のコストをどのように設定すべきか。

解答と解説

各経路について、コストの合計値を同じ値にする。

解説:Equal-Costは経路全体の合計コストを比較する。途中のリンクが一本だけ同じコストでも、合計が異なればこの条件を満たさない。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

冗長化と切替

設問3 インターネット出口の移行

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問3 / 原題:マルチクラウド利用による可用性向上
この冊子の収録小問:1・3

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問3(1)

(1) 出口変更の順序で生じるルーティングループ

従来、事業者網からのインターネット通信は本社FW10へ送っていた。新構成では事業者網内のFW40を出口にする。事業者側の設定を変える前に、FW10のデフォルト経路だけを事業者網側へ向けた。

問題

この変更順序によって、どのような状態が生じるか。

解答と解説

ルーティングのループが発生する。

解説:FW10は事業者網へ送り、まだ旧設定の事業者網はFW10へ返す。双方が相手を出口として扱うため、インターネット宛てのパケットが往復する。

2023年度 午後Ⅱ 問1 設問3(3)

(3) 旧プロキシだけを旧出口へ残すPBR

新しいデフォルト経路は事業者網のFW40へ向ける。ただし、移行期間中は本社のプロキシAからのインターネット通信だけを既存のR10経由に残す。プロキシAとR10の間にはFW10がある。

問題

FW10に設定するポリシーベースルーティングの条件と転送先を答えよ。

解答と解説

送信元IPアドレスがプロキシAで、宛先がインターネットの場合に、ネクストホップをR10にする。

解説:通常の宛先経路だけでは、プロキシAの通信を他の通信と分けられない。送信元条件を加えて例外の出口を指定する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

冗長化と切替

設問1 仮想サーバの冗長構成

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問1 / 原題:仮想化技術の導入
この冊子の収録小問:3

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問1(3)

(3) VRRPバックアップによるマスター停止の判断

2台のAP仮想サーバはVRRPで仮想IPを共有する。マスター側が停止すると、バックアップ側がマスターになる。

問題

バックアップが停止と判断する条件を50字以内で答えよ。

解答と解説

VRRPアドバタイズメントを決められた時間内に受信しなくなること。

解説:バックアップは相手の電源状態を直接読み取るのではない。定期的なVRRP広告の受信が途絶えたことを判断材料にする。

冗長化と切替

設問1 経路制御の基礎・安全性・切替条件

2025年度 午後Ⅰ 問1 設問1 / 原題:ルータの更改
この冊子の収録小問:1・3・4

2025年度 午後Ⅰ 問1 設問1(1)

(1) OSPFの基本用語とデフォルトゲートウェイ

A社はOSPFを利用している。エリアはIDが0.0.0.0の一つだけで構成する。各ルータのループバックIPアドレスを、OSPFルータを識別するIDとして利用する。

東京支社ではR20とR21がVRRPで仮想IPアドレスを共有する。PCは、同一セグメント外へ送信するときの出口として、このアドレスを設定する。

問題

a:エリアIDが0.0.0.0であるOSPFエリアの名称を答えよ。

b:OSPFルータを識別するIDの名称を答えよ。

c:PCが同一セグメント外への出口として設定するゲートウェイの名称を答えよ。

解答と解説

aバックボーンエリア
bルータID(Router ID)
cデフォルトゲートウェイ

解説:エリアを識別する値と、ルータを識別する値は別の情報である。VRRPの仮想IPアドレスはPCの通信の出口に使う。原問の空欄a・bには、それぞれ「バックボーン」「ルータ」が入る。ここでは用語全体で答える。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2025年度 午後Ⅰ 問1 設問1|経路制御の基礎・安全性・切替条件(続き)

2025年度 午後Ⅰ 問1 設問1(3)

(3) AS_PATHプリペンドによる待機経路の制御

R30とR31はC社SaaSとeBGPで接続する。通常はR30を利用し、R30が利用できないときにR31を利用したい。両ルータは経路広告時にAS_PATHプリペンドを設定する。

問題

R31が広告するAS_PATH長を、R30と比べてどのようにする必要があるか。

解答と解説

R30より長くする。

解説:この問題ではAS_PATH長で優先度を調整する。R31側を長く見せることで、通常時には短いR30側の経路を選択させる。R31をバックアップにするために長くするのであり、物理的な通信距離を変える操作ではない。

通常経路
→
C社SaaS
→
R30:短いAS_PATH
待機経路
→
C社SaaS
→
R31:長いAS_PATH
原問の経路選択条件を模式化。ほかの経路選択条件が優先される一般の場合まで断定しない。

2025年度 午後Ⅰ 問1 設問1(4)

(4) OSPF収束を待つVRRPのプリエンプトディレイ

R20とR21はVRRPでPCの出口を冗長化する。プライオリティはR20が105、R21が100である。プリエンプトは有効だが、優先度の高いルータの起動・再起動後には、マスターへの切替を一定時間遅らせる。

問題

この待機時間は、OSPFがどのような状態になることを待つためか。25字以内で答えよ。

解答と解説

OSPFの経路情報が収束した状態

解説:装置が起動したことと、必要な経路情報がそろったことは同じではない。経路が未収束のままPCの出口を引き受けると、正常に転送できない可能性がある。待機によって、経路制御の準備とVRRPの役割切替の順序を合わせる。

ルータ起動
→
OSPFの経路情報が収束
→
VRRPマスターへ切替
プリエンプトディレイは、転送準備が整う前の切替を避けるための待機。
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

マルチキャスト

設問4 PCへの受信機能の拡張

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問4 / 原題:IPマルチキャストによる映像配信
この冊子の収録小問:1

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問4(1)

(1) PCセグメントをマルチキャスト受信対象にする設定

当初は、L3SW11とL3SW21のレシーバ側インタフェースだけにIGMPv3を設定していた。PCは、それぞれL2SW11、L2SW21を介して同じL3SWに接続している。今後はPCもカメラ映像を直接受信する。

問題

追加設定が必要なL3機器、対象インタフェース、設定するプロトコルを答えよ。

解答と解説

対象機器L3SW11とL3SW21
対象インタフェースそれぞれL2SW11、L2SW21に接続するPC側インタフェース
追加する設定IGMPv3

解説:PCからの参加要求を受け付けるのは、PCセグメントに面したL3インタフェースである。既存のレシーバ側設定だけではPC側の参加状態を管理できない。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

マルチキャスト

設問1 マルチキャスト配信の基本動作

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問1 / 原題:IPマルチキャストによる映像配信
この冊子の収録小問:枝番なし

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問1

映像配信を構成するマルチキャスト技術

IPカメラの映像を複数のレシーバへ配信する。L2SWは通常、受信したマルチキャストフレームを受信ポート以外へ転送する。必要なポートだけに転送するため、受信者が送る参加・脱退メッセージを監視する。

L3機器間ではPIM-SMを利用して配信経路を作る。IGMPv3を使う構成では、グループだけでなく送信元も指定できる。カメラはH.264で映像を符号化している。

問題

a:L2SWが受信ポート以外へフレームを転送する動作を答えよ。

b:L2SWがスヌーピングするグループ参加管理プロトコルを答えよ。

c:IGMPv3のレポートの宛先には、ユニキャスト・マルチキャストのどちらのアドレスを用いるか。

d:送信元から受信者へ伸びる配信経路を表す「ディストリビューション[語]」の語を答えよ。

e:マルチキャスト経路を制御するためにL3インタフェースへ設定するプロトコルを答えよ。

f:送信元とグループの組を指定するマルチキャスト方式を答えよ。

g:符号化された映像を表示できる形へ戻す処理を答えよ。

解答と解説

aフラッディング
bIGMP
cマルチキャスト
dツリー
ePIM-SM
fSSM
g復号

解説:IGMPは受信者の参加状態を伝える。IGMPスヌーピングは、その情報をL2転送範囲の制限に用いる。PIM-SMはL3機器間で配信経路を構成する。

SSMでは送信元とグループアドレスの組で配信を識別する。H.264で符号化されたデータは、受信側で復号して映像として表示する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

マルチキャスト

設問2 帯域とグループアドレスの設計

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問2 / 原題:IPマルチキャストによる映像配信
この冊子の収録小問:3

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問2(3)

(3) IGMPv2でカメラを識別するアドレス設計

各カメラは異なるIPアドレスを持つ。IGMPv2では、受信者が参加するグループアドレスを指定するが、送信元を指定する仕組みは使用しない。

問題

IGMPv2でカメラごとの映像を選択するには、カメラのIPアドレスとグループアドレスをどのように割り当てるべきか。

解答と解説

全カメラに、それぞれ異なるIPアドレスと異なるグループアドレスを割り当てる。

解説:受信者がグループだけで映像を選ぶため、異なるカメラに同じグループを割り当てると、グループの指定だけではカメラを分けられない。

マルチキャスト

設問3 送信元指定と配信範囲の制御

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問3 / 原題:IPマルチキャストによる映像配信
この冊子の収録小問:1

2023年度 午後Ⅰ 問2 設問3(1)

(1) SSMによって容易になるアドレス管理

IGMPv3を使用するSSMでは、送信元IPアドレスとグループアドレスの組を指定して受信する。各カメラは異なるIPアドレスを持つため、全カメラに同じグループアドレスを使う構成を採用できる。

問題

この構成によって容易になる設計作業を答えよ。

解答と解説

グループアドレスの設計。

解説:送信元IPアドレスによってカメラを区別できるため、カメラごとに別のグループアドレスを管理する必要がなくなる。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

IPv6経路

設問4 IPv6の経路・アクセス制御・運用設計

2025年度 午後Ⅱ 問1 設問4 / 原題:社内ネットワークのIPv6対応
この冊子の収録小問:4・5・6

2025年度 午後Ⅱ 問1 設問4(4)

(4) LLAで指定するIPv6のネクストホップ

接続は「ルータA―ルータB―FW―広域イーサ網―L3SW1」である。各リンクでは上流側のLLAがfe80::1、下流側のLLAがfe80::2である。

ルータBはルータAへデフォルトルートを持ち、OSPFv3で社内へ配布する。L3SW1配下の宛先は2001:db8:yyyy:3::/64である。yyyyは原問の仮表記である。

問題

次の経路について、ネクストホップと出口の接続先をそれぞれ答えよ。

a:ルータBのデフォルト経路。

b:ルータBのL3SW1配下宛ての経路。

c:FWのデフォルト経路。

d:FWのL3SW1配下宛ての経路。

e:L3SW1のデフォルト経路。

解答と解説

ルータB:デフォルトfe80::1/ルータA接続側
ルータB:L3SW1配下fe80::2/FW接続側
FW:デフォルトfe80::1/ルータB接続側
FW:L3SW1配下fe80::2/広域イーサ網接続側
L3SW1:デフォルトfe80::1/広域イーサ網接続側

解説:同じLLAが別リンクで再利用されているため、アドレスだけで次ホップを判断しない。宛先へ進む方向を先に決め、そのリンクの対向アドレスと自装置の出口を組にして読む。

ルータA
→
ルータB
→
FW
→
L3SW1
各リンクの上流側がfe80::1、下流側がfe80::2。社内の詳細経路と外向きデフォルト経路は逆向き。
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2025年度 午後Ⅱ 問1 設問4|IPv6の経路・アクセス制御・運用設計(続き)

2025年度 午後Ⅱ 問1 設問4(5)

(5) 未使用IPv6宛てのルーティングループ

ISPのルータAは2001:db8:yyyy::/48をルータBへ転送する。ルータBはインターネット向けのデフォルトルートをルータAへ向ける。割当て済み/48の中には、社内で使っていない宛先がある。ルータBに/48の廃棄経路は設定されていない。

問題

未使用宛先へのパケットを両ルータがどう処理するか。「ホップリミット」を使って35字以内で答えよ。

解答と解説

ホップリミットが0になるまで相互に転送し合い、廃棄する。

解説:Aは割当て先のBへ送り、Bは詳細経路がないためデフォルトでAへ送り返す。この往復を防ぐため、原問ではBに/48宛てのNullインタフェースへの経路を設定する。

2025年度 午後Ⅱ 問1 設問4(6)

(6) Null経路がデフォルトルートより優先される理由

ルータBには、::/0をルータAへ送る経路と、2001:db8:yyyy::/48をNullインタフェースへ送る経路がある。未使用の社内割当てアドレスに向けたパケットは、両方に一致する。

問題

/48の廃棄経路が選択される理由を25字以内で答えよ。

解答と解説

ロンゲストマッチによって選択されるから

解説:一致する経路のうち、プレフィックス長が長いものを選ぶ。/48は/0より具体的である。一方、使用中の社内宛先に/64の経路があれば、その/64が/48より優先される。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材