NETWORK SPECIALIST / THEME-BASED STUDY
06
仮想ネットワーク・クラウド・WAN
ネットワークスペシャリスト 午後対策
2021–2025年度の過去問を、設問・小問単位で再構成
26収録小問・空欄群
15原問の設問を収録
8参照する大問
この冊子の学習順序

経路空間とWAN接続 → 仮想マシン・コンテナ → VXLAN・EVPN

各小問は、必要な条件、問題、解答表、解説の順に読む。選択記号は内容を表す語句・文章へ置き換えた。

8冊の構成
冊学習領域収録小問
01L2・LAN・無線ネットワーク19
02IP通信・アドレス制御28
03ルーティング・経路冗長化50
04DNS・Web・アプリケーション通信41
05ネットワークセキュリティ・認証65
06仮想ネットワーク・クラウド・WAN26
07性能・通信品質・可用性設計31
08監視・障害解析・移行運用44

全体は25題・96設問が対象。成立する304小問・空欄群を収録した。小問番号のない設問は1単位、同じ小問内の複数空欄はまとめて1単位と数える。各冊の設問数は分割収録を含むため、合計は全体の設問数と一致しない。

2024年度 午後Ⅱ 問2 設問5(1)〜(3)は、IPAが不成立としたため除外した。

出典と編集範囲

原典:IPA「ネットワークスペシャリスト試験」問題冊子・解答例。
2021年度 / 2022年度 / 2023年度 / 2024年度 / 2025年度
© IPA 2021–2025。問題の条件と解答は原典に基づく再構成であり、逐語転載ではない。解説・図は学習用の編集を含む。技術判断は各過去問の前提に従う。本資料はIPAの公式教材ではない。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

経路空間とWAN接続

設問1 IPsec VPNの構成とパケット処理

2024年度 午後Ⅰ 問3 設問1 / 原題:ローカルブレイクアウトによる負荷軽減
この冊子の収録小問:1

2024年度 午後Ⅰ 問3 設問1(1)

(1) 本社を中心とするVPNの接続形態

本社と四つの支社のUTM間にIPsec VPNを構築する。本社を中心として各支社が接続し、支社同士は直接接続しない。

問題

このVPNの接続形態の名称を答えよ。

解答と解説

ハブアンドスポーク型。

解説:中心の本社がハブ、各支社がスポークに当たる。全拠点間を直接つなぐフルメッシュとは異なる。

経路空間とWAN接続

設問4 SD-WANトンネルの確立と監視

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問4 / 原題:SD-WANによる拠点接続
この冊子の収録小問:1

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問4(1)

(1) SD-WANコントローラーが配るトンネル情報

SD-WAN装置間のオーバーレイはIPsecトンネルで構成する。コントローラーは経路情報とは別に、トンネルを確立するための情報を各装置へ配布する。

問題

経路情報以外に必要な情報を二つ答えよ。

解答と解説

情報1IPsecトンネル確立のためのIPアドレス。
情報2IPsecトンネル確立のための鍵情報。

解説:トンネルの接続先を知る情報と、その相手との保護通信を成立させる鍵情報が必要になる。利用者ネットワークの経路情報とは役割が異なる。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

経路空間とWAN接続

設問3 SWG導入に伴う通信経路と制御の変更

2025年度 午後Ⅰ 問3 設問3 / 原題:セキュアWebゲートウェイの導入
この冊子の収録小問:2

2025年度 午後Ⅰ 問3 設問3(2)

(2) SWGとリバースプロキシを通る社外アクセス

社外PCのソフトEは、まずSWGに通信を中継する。社内の業務用サーバへは、DMZのリバースプロキシを利用する。DMZとサーバセグメントの間にはFWがある。直接接続の例外は設定しない。

問題

社外PCから業務用サーバまでの経路を、PC・ソフトE・SWG・FW・リバースプロキシ・業務用サーバの名称を使って順に答えよ。L2/L3スイッチは省略する。

解答と解説

社外PC → ソフトE → SWGサービス → FW → リバースプロキシ → FW → 業務用サーバ

解説:外部からDMZへ入るときと、DMZからサーバセグメントへ進むときの二度、FWを経由する。SWGを利用しても、社内のセグメント境界がなくなるわけではない。

社外PC+ソフトE
→
SWG
→
FW
→
DMZのリバースプロキシ
→
FW
→
業務用サーバ
原問図2の必要部分だけを再構成。スイッチとインターネットの雲は省略。

経路空間とWAN接続

設問1 VRFで分離した拠点VPNの経路

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1 / 原題:セキュアゲートウェイサービスの導入
この冊子の収録小問:2・4

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1(2)

(2) VRFで分離する経路情報

IPsecルータは、LAN側の通信と、インターネット上でVPNを確立する通信を分ける。それぞれの用途でデフォルト経路を使えるように、VRFを構成する。

問題

VRFによって独立して保持する表の名称を答えよ。

解答と解説

ルーティングテーブル。

解説:同じ装置でも、VRFごとに異なる経路選択ができる。トンネル内の利用者通信とトンネル外の到達用通信を分離する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1|VRFで分離した拠点VPNの経路(続き)

2022年度 午後Ⅰ 問2 設問1(4)

(4) トンネルから到着したSaaS宛て通信のVRF

IPsecルータのインターネット側はVRF 65000:1に属する。LAN側とトンネルIFはVRF 65000:2に属する。本社のVRF 65000:2には、L3SW経由のデフォルト経路がある。

問題

営業所PCからSaaS宛ての通信を本社IPsecルータが転送するとき、選ぶVRFと宛先ネットワークを答えよ。

解答と解説

VRF65000:2
宛先ネットワーク0.0.0.0/0

解説:VPNから取り出した利用者パケットは、トンネルIFの属するLAN側VRFで扱う。VPNの外側を運ぶためのVRF 65000:1とは分けて判断する。

経路空間とWAN接続

設問5 アンダーレイ障害時のトンネル選択

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問5 / 原題:SD-WANによる拠点接続
この冊子の収録小問:1・2

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問5(1)

(1) 正常時のMPLS VPNトンネル選択

本社のSD-WAN装置2と支店Vの装置3の間には、MPLS VPN上のトンネルとインターネット上のトンネルがある。MPLS側の端点はTE023・TE032、インターネット側はTE123・TE132である。正常時はMPLS VPNを優先する。

問題

本社PCから支店VのPCへ向かう通信が通るトンネルと両端点を答えよ。

解答と解説

MPLS VPN上の、本社装置2の端点TE023から支店V装置3の端点TE032へ至るトンネル。

解説:二拠点間には直接のトンネルがあるため、データセンターを経由させない。通常時の優先条件を、トンネルの土台となるネットワークに適用する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問5|アンダーレイ障害時のトンネル選択(続き)

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問5(2)

(2) MPLS回線障害時のインターネット迂回

本社装置2と支店V装置3には、MPLS VPN上の端点TE023・TE032と、インターネット上の端点TE123・TE132がある。MPLS VPNが使えない場合はインターネット経由を選ぶ。支店VのMPLS VPN接続回線に障害が発生した。

問題

障害後に通信が通るトンネルと両端点を答えよ。

解答と解説

インターネット上の、本社装置2の端点TE123から支店V装置3の端点TE132へ至るトンネル。

解説:同じ二拠点の通信であっても、使用するアンダーレイが変わるとトンネルの両端点も変わる。故障したMPLS側の片方の端点だけをインターネット側へ置き換えるわけではない。

通常
→
本社 TE023
→
MPLS VPN
→
支店V TE032
障害後
→
本社 TE123
→
インターネット
→
支店V TE132
二種類のアンダーレイごとに、一対のトンネル端点を使う。
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

経路空間とWAN接続

設問2 閉域IoT接続と通信コスト

2025年度 午後Ⅱ 問2 設問2 / 原題:LPWAを用いたガスメーターのIoTシステム
この冊子の収録小問:枝番なし

2025年度 午後Ⅱ 問2 設問2

閉域LPWAサービスの接続・課金・API

Z社の閉域LPWA網とY社をIPsecで接続する。IKEv2では四つのメッセージを交換する。保護対象はGメーター管理サーバ宛ての通信である。LTE-M端末には加入者識別用のカードを装着する。測定データは1回100バイトで毎時送る。30日間の基本料金は300円、通信料は1,000バイト当たり1円とする。CoAPはHTTPのように資源を操作するAPIを提供する。

問題

g:IKEv2のメッセージ交換は何往復か。

h:IPsecの保護対象となる宛先を答えよ。

i:加入者を識別するカードの名称を答えよ。

j:30日間の料金を計算せよ。

k:資源に対する操作で構成するAPIの設計様式を答えよ。

解答と解説

g2往復
hGメーター管理サーバ
iSIM
j372円
kRESTful

解説:四つのメッセージは要求・応答の二往復となる。LTE-Mの加入者識別と、IPsecで保護する通信の選別は別の機能である。

通信量は100×24×30=72,000バイトである。料金は300+72,000÷1,000=372円となる。原問の課金条件で計算する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

仮想マシン・コンテナ

設問2 コンテナへのHTTP転送

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問2 / 原題:仮想化技術の導入
この冊子の収録小問:1・3・4

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問2(1)

(1) ホストごとのコンテナ内部アドレスを重複させる

コンテナサーバa・bはそれぞれ独立した仮想ブリッジセグメントを持つ。両セグメントには同じ内部アドレスを割り当てる。外部通信には仮想ルータのNAPTとポートフォワードを使う。

問題

内部IPアドレスの重複が外部通信で問題にならない理由を40字以内で答えよ。

解答と解説

外部ではコンテナに付与した内部IPアドレスを利用しないから。

解説:外部からはコンテナサーバ側のIPと公開ポートで接続先を指定する。重複する内部IPは、それぞれ分離された仮想ブリッジ内で使う。

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問2(3)

(3) プロキシから公開ポートまでの接続先

共有リバースプロキシは192.168.0.98である。AP0aはコンテナサーバaの192.168.0.112:8000で公開する。AP0bは192.168.0.113:8000で公開する。PCはAP0のFQDNでアクセスする。

問題

a:PCがDNSから得る接続先IPを答えよ。

b:プロキシがAP0aへ転送する際の宛先ポートを答えよ。

解答と解説

a192.168.0.98
b8000

解説:PCは共有入口へ接続する。リバースプロキシはAP0に対応する公開ポート8000へ新たな接続を作る。

PC
→
192.168.0.98:80
→
192.168.0.112:8000
→
AP0a
共有入口からコンテナサーバの公開ポートへ進む通信。
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問2|コンテナへのHTTP転送(続き)

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問2(4)

(4) ポートフォワード後の宛先

コンテナサーバaの公開先192.168.0.112:8000は、内部のWebAPコンテナAP0aへ転送する。AP0aの内部IPは172.16.0.16であり、HTTPは標準ポートで待ち受ける。

問題

a:変換後の宛先IPを答えよ。

b:変換後の宛先ポートを答えよ。

解答と解説

a172.16.0.16
b80

解説:外部側の公開ポート8000と、コンテナ内で待ち受けるポート80を混同しない。仮想ルータが宛先IPとポートを対応表に従って変換する。

仮想マシン・コンテナ

設問1 仮想サーバの冗長構成

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問1 / 原題:仮想化技術の導入
この冊子の収録小問:1

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問1(1)

(1) 仮想サーバ・VRRP・DNSの基本用語

物理ホスト上に複数の仮想サーバを構成する。APごとに2台を用意し、VRRPv3で仮想IPを共有する。APのFQDNをDNSで仮想IPv4アドレスへ対応付ける。

問題

a:サーバ仮想化を実現するソフトウェアを答えよ。

b:同一セグメントのVRRPグループを区別する識別子を答えよ。

c:VRRPで構成できる仮想ルータの最大組数を答えよ。

d:FQDNとIPv4アドレスを対応付けるDNSレコード種別を答えよ。

解答と解説

aハイパーバイザ
bVRID
c255組
dAレコード

解説:仮想サーバの実行基盤、冗長グループの識別、名前解決を分けて整理する。利用者は各実サーバではなく、VRRPの仮想IPへ接続する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

仮想マシン・コンテナ

設問3 専用アプリケーションの通信

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問3 / 原題:仮想化技術の導入
この冊子の収録小問:1

2022年度 午後Ⅱ 問2 設問3(1)

(1) 独自プロトコルをコンテナへ移す前の確認

専用APはHTTPではない独自のTCP/IPプロトコルを利用する。コンテナからPC・共有DBへ通信する際、仮想ルータがアドレスやポートを変換する。

問題

正常動作を確認する必要がある仮想ルータの機能を二つ答えよ。

解答と解説

機能1NAPT
機能2ポートフォワード

解説:通信方式がAPごとに異なるため、変換を介した接続でも正常に動くことを個別に確認する。WebAPの動作確認だけでは専用APの互換性を証明できない。

仮想マシン・コンテナ

設問4 認証利用者と仮想PCの対応付け

2022年度 午後Ⅱ 問1 設問4 / 原題:テレワーク環境とネットワーク冗長化
この冊子の収録小問:1

2022年度 午後Ⅱ 問1 設問4(1)

(1) VDI利用者を接続先の仮想PCへ対応付ける

利用者ごとに専用の仮想PCを用意する。仮想PCには固定IPアドレスを設定する。SSL-VPN装置は認証した利用者に応じてDNATの接続先を決定する。

問題

SSL-VPN装置のユーザーテーブルに必要な情報を40字以内で答えよ。

解答と解説

VDI利用者の利用者IDと、その利用者の仮想PCのIPアドレスの組。

解説:認証結果のIDを検索キーとし、実際の接続先IPアドレスを得るための対応表である。IPアドレスだけの一覧では利用者を対応付けられない。

利用者ID
→
ユーザーテーブル
→
仮想PCのIP
→
DNATの接続先
認証された利用者から接続先を決める関係。
2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

VXLAN・EVPN

設問3 ARPを通じたVTEPの学習

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問3 / 原題:VXLANとEVPNを用いるデータセンターネットワーク
この冊子の収録小問:1・2・3

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問3(1)

(1) ARP要求を運ぶVXLANの宛先IP

VM11はL3SW11のVLAN110に接続し、VNIは10010である。VNI10010のマルチキャストグループは239.0.0.1である。VM11がVM31のMACアドレスを調べるためにARP要求を送った。

問題

L3SW11がカプセル化するVXLANパケットの宛先IPアドレスを答えよ。

解答と解説

239.0.0.1。

解説:ARP要求はブロードキャストであり、原問の設定ではVNIに対応するマルチキャストへ変換して運ぶ。VM31のユニキャストIPアドレスを外側の宛先に設定しない。

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問3(2)

(2) 受信VXLANから返信先のVTEPを学ぶ

L3SW31は、L3SW11から送られたVM11のARP要求を含むVXLANパケットを受信する。その後、VM31のARP応答をL3SW11へユニキャスト転送する必要がある。

問題

ARP要求を受信したとき、L3SW31が対応付けて学習する情報を答えよ。

解答と解説

VM11のMACアドレス、VNI、L3SW11のVTEPのIPアドレス。

解説:返信先端末のMACアドレスだけでは、どのトンネルへ送るか判断できない。仮想L2を識別するVNIと、そこへ到達する遠隔VTEPのIPアドレスを組み合わせる。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問3|ARPを通じたVTEPの学習(続き)

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問3(3)

(3) 双方向のMAC・VNI・VTEP対応表

VM11とVM31はVNI10010に属する。VM11はL3SW11に、VM31はL3SW31に接続する。両VTEPのIPアドレスはそれぞれ10.0.0.11と10.0.0.31である。ARP要求と応答の交換を終えた。

問題

L3SW11がVM31のMACに対応付けるVNIと遠隔VTEPを答えよ。

L3SW31がVM11のMACに対応付けるVNIと遠隔VTEPを答えよ。

解答と解説

L3SW11:VM31の情報VNI 10010、遠隔VTEP 10.0.0.31
L3SW31:VM11の情報VNI 10010、遠隔VTEP 10.0.0.11

解説:どちらも同じVNIを学習するが、遠隔VTEPには相手側のアドレスを入れる。自装置のVTEPアドレスを書く誤りに注意する。

VXLAN・EVPN

設問4 EVPNによる制御とマルチホーム

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問4 / 原題:VXLANとEVPNを用いるデータセンターネットワーク
この冊子の収録小問:2・4・5

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問4(2)

(2) EVPNの事前学習とEthernet Segmentの識別

EVPNではMP-BGPを使い、遠隔VMのMAC・VNI・VTEPを通信開始前に学習する。また一台の物理サーバを二台のVTEPへリンクアグリゲーションで接続し、両VTEPが同じ接続対象を認識できるようにする。

問題

事前学習によってフラッディングを減らせるBUMの種類を答えよ。

同じ物理サーバ側セグメントを識別する共通IDを答えよ。

解答と解説

種類Unknown Unicast(宛先未学習ユニキャスト)
識別子ESI(Ethernet Segment Identifier)

解説:MACアドレスの所在を先に知れば、宛先不明によるフラッディングを減らせる。ESIはVNIとは異なり、複数のVTEPが共有する接続セグメントを識別する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問4|EVPNによる制御とマルチホーム(続き)

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問4(4)

(4) EVPNで遠隔VTEPの情報を取得する

新構成ではアンダーレイのIPマルチキャストを使わない。BUMフレームをユニキャストで各遠隔VTEPへ複製転送するため、転送前にそのVTEPのIPアドレスを知る必要がある。

問題

遠隔VTEPのIPアドレスをどのように学習するか。

解答と解説

MP-BGPを用いて学習する。

解説:旧構成のように実際のVXLANパケットを受け取ってから学習するのではなく、EVPNの制御情報として先に取得する。

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問4(5)

(5) EVPNでARP要求を複製する範囲

VTEPは、VLAN IDに対応するVNIと、そのVNIに参加する遠隔VTEPをMP-BGPで学習する。ARP要求を受信した際は、IPユニキャストを使って必要な相手へ複製転送する。

問題

どのリモートVTEPへ転送するか、VNIを用いて答えよ。

解答と解説

受信したVLAN IDに対応するVNIを持つ全てのリモートVTEP。

解説:ユニキャストで運ぶ場合も、ARP要求を届ける論理的な範囲は同じL2ネットワークである。全VTEPではなく、対応するVNIへの参加者に限定する。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

VXLAN・EVPN

設問1 VXLANのカプセル化とBUM転送

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問1 / 原題:VXLANとEVPNを用いるデータセンターネットワーク
この冊子の収録小問:1・2・3

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問1(1)

(1) VXLANのVNIと下位プロトコル

VXLANは約1,677万個のL2オーバーレイネットワークを識別できる。元のEthernetフレームにVXLANヘッダー、トランスポート層のヘッダー、IPv4ヘッダーを付加してVTEP間で送る。

問題

a:VNIのビット数を答えよ。

b:オーバーレイを構築する下位ネットワークのレイヤー番号を答えよ。

c:IPv4とVXLANの間に入るプロトコルを答えよ。

解答と解説

a24ビット
bレイヤー3
cUDP

解説:2の24乗は16,777,216であり、本文の規模に対応する。L2フレームをUDP/IPで包むことで、L3ネットワークを越えて同じL2の通信を運ぶ。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問1|VXLANのカプセル化とBUM転送(続き)

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問1(2)

(2) MAC・VNI・VTEPアドレスの格納場所

受信したVXLANパケットは、外側からIPv4ヘッダー、UDPヘッダー、VXLANヘッダー、元のEthernetフレームの順に構成される。VTEPはこれらを読み、遠隔のサーバへの転送情報を学習する。

問題

遠隔サーバのMACアドレスを含む部分を答えよ。

VNIを含む部分を答えよ。

遠隔VTEPのIPアドレスを含む部分を答えよ。

解答と解説

サーバのMACアドレス元のEthernetフレーム
VNIVXLANヘッダー
遠隔VTEPのIPアドレス外側のIPv4ヘッダー

解説:元の端末の識別情報と、トンネル端点の識別情報は異なる層に入る。外側のIPアドレスをそのままVMのIPアドレスだと解釈しない。

外側IPv4:VTEPのIP
→
UDP
→
VXLAN:VNI
→
内側Ethernet:端末MAC
左から順にカプセル化されたパケットの構造を示す。

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問1(3)

(3) BUMフレームをマルチキャストで運ぶ

現行のVXLANでは、ブロードキャスト、宛先未学習のユニキャスト、マルチキャストをBUMフレームと呼ぶ。これらの転送時は、外側IPv4の宛先を、そのVNIに対応するマルチキャストグループアドレスにする。

問題

グループアドレスへ送る目的を答えよ。

解答と解説

同じL2ネットワークを持つ全てのリモートVTEPへ転送するため。

解説:宛先を一台に絞れないフレームを、同じ仮想L2に属する遠隔拠点へ届ける。異なるVNIを持つ全VTEPへ無条件に配るという意味ではない。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

VXLAN・EVPN

設問2 アンダーレイと仮想L2ネットワーク

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2 / 原題:VXLANとEVPNを用いるデータセンターネットワーク
この冊子の収録小問:4・5

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2(4)

(4) VTEPにループバックアドレスを使う

VTEPとなるL3SWは複数の物理リンクを持ち、OSPFで冗長な経路を利用できる。VTEPのIPアドレスには特定の物理インタフェースではなく、ループバックのIPアドレスを用いる。

問題

このアドレスの選択による利点を答えよ。

解答と解説

一つの物理インタフェースに障害があっても、VTEPとして動作できる。

解説:端点の識別を特定の物理リンクから分離する。別リンクを使ってループバックへ到達できれば、同じVTEPアドレスへの通信を続けられる。

2024年度 午後Ⅱ 問1 設問2(5)

(5) VLAN番号ではなくVNIでL2接続を判断する

VM11・VM12・VM13のVNIは順に10010・10020・10030である。VM31・VM32・VM33のVNIは順に10010・10040・10030である。送信元VM23のVNIは10040である。異なるVNI間のルーティングは行わない。

問題

VM23からVM11・VM12・VM13・VM31・VM32・VM33へのL2通信可否を、記号ではなく文章で答えよ。

解答と解説

VM11通信不可
VM12通信不可
VM13通信不可
VM31通信不可
VM32通信可能
VM33通信不可

解説:同じVNI10040に属するVM32だけが同じ仮想L2ネットワークとなる。VMに同じIPアドレス帯が設定されていても、VNIが違えば同じL2として通信できない。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材

関連技術・設計判断

設問1 MPLS VPNとSD-WANの基本用語

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問1 / 原題:SD-WANによる拠点接続
この冊子の収録小問:枝番なし

2024年度 午後Ⅰ 問2 設問1

拠点接続を構成する機能と役割

G社はMPLS VPNで四つの拠点を接続する。顧客側ルータは通信事業者のPEと対向する。拠点内ではOSPF、拠点間ではBGPを利用する。インターネット接続用のプロキシはDMZに置く。導入予定のSD-WANはアプリケーションを識別して転送経路を決める。

問題

a:顧客側エッジルータの名称を答えよ。

b:異なるルーティングプロトコルへ経路を渡す処理を答えよ。

c:各拠点へ配布すべきプロキシの属するネットワーク名を答えよ。

d:異なるASのPEとの経路交換に使うBGPの種類を答えよ。

e:インターネット上で使わない予約済みAS番号の呼称を答えよ。

f:アプリケーション等の条件に基づくルーティングの呼称を答えよ。

解答と解説

aカスタマーエッジルータ(CE)
b再配布
cDMZ
deBGP
eプライベートAS番号
fポリシーベースルーティング

解説:機器の所属、経路情報を交換する範囲、転送先を選ぶ条件を分けて捉える。OSPFとBGPを併用するだけでは経路は相互に伝わらないため、境界で再配布を行う。

2021–2025 / 原問に基づくテーマ別教材